勉強ができる子は何が違う?自己コントロール力とメタ認知力で差がつく

今回は【「勉強できる力」って、どこで差がつくの?】についてお話します。
「うちの子、もっと勉強できるようにならないかな…」そんなふうに思ったこと、ありませんか?この記事を読めば、子どもが勉強を好きになるヒントや、親としてできるサポートのコツがきっと見つかります!
今回参考にする本は、ちくまプリマー親書の『勉強ができる子は何が違うのか』。著者は榎本博明さん。東京大学の教育学部で心理学を学んだ、いわば”心のプロフェッショナル”です。たくさんの教育関連の本を書かれていて、この本では、心理学の視点から「学力アップの秘密」を教えてくれています。
・自己コントロール力:遊びたい気持ちを我慢する、コツコツ続ける力
・メタ認知能力:自分の理解度や勉強法を振り返って、必要に応じて修正できる力
・「勉強ができる=賢い」ではなく、「気づいて変えていける力」がある子が本当に伸びる
・親は”教える”より、”気づきを支える”立場になろう
本の内容紹介

この本には、「どうすれば子どもが勉強できるようになるのか?」のヒントがたっぷり詰まっています。榎本さんによると、勉強ができるようになるには「認知能力」「非認知能力」「メタ認知能力」の3つが大切なんだそうです。
ちょっと難しく見えるけど、かんたんに言うと…
・認知能力は、読んだり書いたり、計算したりする「お勉強そのものの力」。
・非認知能力は、コツコツ頑張る力や集中力、我慢強さなど「心の力」。
・メタ認知能力は、「今、自分ってちゃんとできているかな?」って、自分を振り返って考える力。
実は、「勉強の力」は、単に計算が早いとか字がきれいとかだけじゃないんです。集中力や、自分をコントロールする力ーーつまり「心の力」がすっごく大事!
よく「勉強ができるようになるには、頭の良さを伸ばすことが大事!」って言われますよね。だから、最近では小さいうちからドリルや暗算、英語など、知的能力を高めるための早期教育がすごく流行っています。
でも…実はこれ、長い目で見ると、あんまり意味がないことも多いんです。
たとえば、まわりの子より早く字が書けたり、計算ができるようになっても…そのうちみんなできるようになりますよね?そうなると、せっかくの”先取り”が、ただの”横並び”になっちゃう。
それだけじゃなくて、ちょっと困ったこともあります。勉強ばっかりしていた子が、遊びやしつけを通して集中力や我慢強さを育ててきた子に、あとからグングン追い抜かれてしまうなんてこともあるんです。
だからこそ、今回注目したいのが、「知的能力」以外の力。つまりーー
「非認知能力」と「メタ認知能力」!
この2つが、子どもの「本当の学ぶ力」を育てるカギなんです。
今回は、「非認知能力」と「メタ認知能力」に注目して、どうやったら子どもがぐんぐん伸びるのか?そのヒミツをわかりやすく解説していきます!
がんばる力の正体は「自己コントロール力」

勉強ができるようになるために大切なのは、実は「計算が早い」とか「漢字をいっぱい知ってる」といった知的な能力だけじゃありません。
たとえば、「我慢強く物事に取り組む力」や「集中力」、「気を散らずにやることを続ける力」。こういう”心の力”こそが、非認知能力と呼ばれるもので、学ぶ力の土台になっているんです。
その中でも特に大切なのが、自己コントロール力。
たとえばーー
宿題をやらなきゃいけないときに、友だちから「遊ぼう!」と誘われたらどうしますか?
「うわー、遊びたい!」って思うのがふつう。でも、「今行ったら宿題終わらないし、明日先生に怒られるかも…」「テストも近いし、ちゃんとやっておこう」って考えて、遊びたい気持ちをぐっとがまんできるかどうか。
こういうときに試されるのが、自己コントロール力です。つまり、「今すぐの楽しさ」をがまんして、「もっと大きな未来のため」に動けるかどうか。
これが、勉強ができるようになるかどうかの分かれ道なんです!
実際、いろんな研究でも、「自己コントロール力が高い子は、勉強でも、友だち付き合いでもうまくいく」ってことがわかっています。
自分に甘えず、ちゃんとやるべきことをやれる子は、必要な時にちゃんと勉強して、ここぞというときに力を発揮できますよね。だからこそ、成績もぐんぐん伸びていく!
こうして見ると、「勉強ができる子」になるためには、自己コントロール力を育てることがとっても大事ってこと、伝わってきますよね。
でもこの力、一体いつ育つのでしょうか?
実は、自己コントロール力は一生を通じて発達するけれど、特に乳幼児期にグンと伸びることが分かっています。小学生から高校生まではゆるやかに発達し、大人になると安定し、年を取るとまた少しずつ衰えていく。
つまり、小さいころ、特に幼児期にどんな関わりをするかがすごく重要なんです。この時期に、がまんする力や気持ちをコントロールする力を育ててあげることが、将来の”頑張れる力”につながります。
とわいえ、もし子どもの頃にうまく育たなかったとしても大丈夫。中高生や大学生になってからでも、自己コントロール力は十分に鍛えられるんです!
ところが最近、若者の自己コントロール力の低さが問題視されています。
たとえば、2006年に全国の幼稚園の先生たちを対象に行われた調査では、「最近の子どもや子育てで気になることは?」という質問に、一番多かった答えが『忍耐力のない子が目立つ』。なんと、64%の先生がそう感じていたんです。
さらに、「感情のコントロールが苦手」「衝動的に行動してしまう」といった声も多く寄せられていました。
当時の園児たちは、今ちょうど20代前半。そして今、「ちょっと注意されただけで落ち込む」「褒められないとやる気が出ない」「うまくいかないとすぐあきらめてしまう」。そんな若者が増えているのも、子どもの頃に”自己コントロール力”を育てる機会が少なかった影響かもしれません。
そして今は、そんな大事な力を育てるのがさらに難しくなってきています。
たとえば先生が少し厳しいことを言うと、「子どもの心を傷つけた」と保護者からクレームが入ったり、メディアで取り上げられたり。
先生たちは委縮してしまい、子どもの”心の力”を育てるような働きかけがしにくい時代になってしまいました。
親も同じです。
国際調査を見ると、欧米の親は子どもにしっかりと期待を示したり、はっきりと指示したりするのに対し、日本の親は「無理をさせたくない」「子どもの自由を大事にしたい」という考えが強い傾向があります。
もちろん、どちらが正しいというわけではありませんがーー
厳しい状況に耐える力、長期的な目標のために目の前の欲求をがまんする力を育てる環境は、もしかしたら欧米の方が整っているのかもしれません。
じゃあ、日本ではどうすればいいのか?榎本さんはこう言います。
「自分で、自分の力を鍛えるしかない」ーーつまり、意識して自己コントロール力を育てる必要があるんです。
でも、「よし!今日からがんばるぞ!」と気合を入れただけで、すぐに身につくものじゃありません。そこで大切になってくるのが、メタ認知能力です。
「自分って、どんなときに集中できるんだろう?」「どうすればやる気が出るのかな?」
そんなふうに、自分の行動や気持ちを振り返って、自分をうまくコントロールする方法を知っているかどうか。
それが、次のステップーー本当の「学ぶ力」を育てるカギになっていくんです。
「できる子」は、自分をよく見ている

「メタ認知」ってちょっとむずかしく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと、自分の勉強の仕方や理解度を自分でチェックする力のことです。
たとえばーー
・「この内容、ちゃんと理解できてるかな?」
・「今使っている解き方って正しいのかな?」
・「あれ、なんでこの問題まちがえたんだろう?」
こうやって、自分の学び方や頭の中を振り返って考える力。これが「メタ認知」なんです。
このメタ認知、実は成績アップに直結する力でもあります。
ある研究では、成績が良くない子ほど、自分の成績を過大評価してしまう傾向があると分かっています。「できた!」と思っていたのに、テストの点数がボロボロ…。これ、よくある「わかったつもり症候群」です。
自分がどれくらい理解しているか正しくモニターできないと、「ここを直せばよくなる」というポイントに気付けず、そのまま勉強方法も変えないまま、成績も低迷し続けてしまうんです。
でも、安心してください。このメタ認知能力はトレーニングでどんどん伸ばすことができるんです!
メタ認知は、大きく分けて2つのパートからできています。
ひとつめが「メタ認知的知識」。これは、「自分に合った勉強法」や「得意・不得意を知っていること」です。
たとえばーー
・私は朝の方が集中できる
・暗記は声に出すと覚えやすい
・文章問題は時間をかければ理解できる
こんなふうに、自分に合った学び方を知っていることが、メタ認知的知識です。
そしてもうひとつが「メタ認知的活動」。これはさらに2つに分かれます。
まずは「メタ認知的モニタリング」。今、自分の勉強がうまくいってるか、ちゃんと理解できているかをその場で確認する力です。
そしてもうひとつが「メタ認知的コントロール」。モニタリングの結果をふまえて、「じゃあどうするか?」と勉強の方法を工夫・修正する力です。
たとえば、「集中できてないな」と気づいたら、静かな場所に移る。「暗記がうまくいかないな」と思ったら、やり方を変えてみるーー
こうした行動がまさにメタ認知的活動の力なんです。
これらのメタ認知の力は、小学校の中学年ごろから中学生くらいの間にどんどん育つと言われています。そしてこの力が育つと、勉強が効率よく進み、成績もぐんぐん伸びていく!
メタ認知の中でも特に大切なのが、先ほど紹介した「メタ認知的モニタリング」です。
勉強ができる子は、予習・授業・復習・テストーーあらゆる場面でモニタリングをしています。
たとえば授業中、「今の話、ちゃんと理解できたかな?」と考えながら聞く。テストが終わった後に、「ここ間違えたのって、何が原因だろう?」と振り返る。
こうした習慣が、自分の弱点を発見して改善するチャンスを作っているんです。
そして、理解度だけでなく、”理解を妨げている原因”にも目を向けることが大切だと著者は言っています。
たとえば授業で「全然わからない!」と感じたとき、「もうだめだ!」と投げ出すのではなく、「なんでわからないのかな?」と考えてみる。
・予習してなかった?
・前の日、寝不足だった?
・気が散って集中できなかった?
こうやって自分の学習状態をモニターすることで、改善点が見えてくるんです。
そしてもうひとつ見逃せないのが、「心の状態」のモニタリング。
「勉強しているはずなのに、全然頭に入らない…」そんなときは、集中できていない可能性大!
たとえばリビングで勉強している子。親の目もあるし、さぼらず机に向かっている。でもテレビの音や家族の話し声で気が散って、同じところを何度も読んでしまう…。
これでは、「やってるつもり」でも、実際には勉強が進んでいないんです。
こういうときも、「今、集中できてないな」と気づけば、「じゃあ静かな部屋に行こう」「テレビを消してもらおう」と行動を変えられます。
この”気づき”と”行動の切り替え”ができるかどうかで、学習の成果が大きく変わるんです!
つまりーーメタ認知的モニタリングができる子は、自分の勉強を育てていける子。
これこそが、これからの時代に求められる”本当の学ぶ力”なんです。
まとめ

ここまで、「勉強ができる子は何が違うのか?」を紹介してきました。
ポイントは2つ!
1つ目は「自己コントロール力」ーーがまんして努力を続ける”心の力”。
2つ目は「メタ認知能力」ーー自分の勉強法を見直し、改善できる”考える力”。
この2つがそろえば、ただ長時間勉強するよりずっと効率的に、成績はぐんぐん伸びていきます!
そして大事なのはこれらの力は誰でも育てられるということ。
・勉強中に「今、集中できてるかな?」と気づく
・うまくいかないときに「なんで?」と自分に問いかける
・やり方を変えて、もう一度チャレンジする
こうした小さな意識が、子どもを”自分で学べる力のある子”へと育ててくれるんです。
ぜひ今日から、親子で「気づいて育てる学び」、始めてみませんか?